在来の設計方法との違いは何ですか。

従来の計算では、杭頭を一律に固定とし、杭の水平剛性に応じてせん断力を配分していました。キャプテンパイル工法では、杭に作用する軸力とせん断力から杭頭の固定度を算出し、固定度を考慮してせん断力を配分しますので、ここに大きな違いがあります。すなわち、軸力の大きさにより杭頭の固定度が変化しますので、実際の地震時と同様に、各杭が負担するせん断力は地震力の方向ごとに変化することになります。

杭頭の固定度の定義は。

日本建築学会「建築基礎構造設計指針」に従い、杭頭を完全固定とした時に生じる杭頭曲げモーメントM0fに対する、半固定時に生じる杭頭曲げモーメントM0の比を固定度と定義しています。杭頭ピンの場合、M0=0であるので固定度は0、杭頭固定の場合M0=M0fであるので固定度1になります。

なぜ杭径を細くできるのですか。

杭頭が固定とピンの中間的な接合状態になるため、固定の場合と比較して杭頭曲げモーメントが小さくなるので、杭頭せん断耐力に余裕があれば杭径を細くできます。

引張定着筋の仕様を教えてください。

材種はSD390,SD490,SD685、径はD29~D41とすることができますが、SD490/D38,SD490/D41,SD685/D41の組み合わせを推奨仕様としています。本数は引張軸力に応じて定めます。配置は円形配置と正方形配置があります。杭体への定着方式にはシース方式と先付け方式の2種類があります。杭体やパイルキャップへの定着長さは、引張定着筋の材種と径,杭体のコンクリート強度,定着方式によって異なります。

曲げモーメントやせん断力はどのように伝達されるのですか。

杭体-パイルキャップ間の応力伝達は図のようになされます。曲げモーメントは、杭頭接合面の付加圧縮力及び引張定着筋の引張力で伝達されます。せん断力は、圧縮軸力の場合は接合面摩擦により伝達される要素もありますが引張軸力の場合には期待できません。このため杭体の負担せん断力は全てPCリングが伝達できるように、PCリング仕様を定めています。

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杭頭部の地盤条件が悪い場合でも適用可能ですか。

適用可能です。協会で用意している設計プログラムは多層地盤にも対応しています。一般に、杭頭を半固定として杭頭曲げモーメントを低減すると、地中部曲げモーメントが増加します。特に、地盤が柔らかい場合には地中部の最大曲げモーメント発生位置が深くなり、かつ大きな曲げモーメントが生じますから、メリットが小さくなる可能性もあります。

杭頭固定の場合と比較して、どの程度杭頭変形量は大きくなりますか。

キャプテンパイル工法では、固定度が概ね0.3~0.7程度に変化します。固定度を考慮した弾性支承梁理論の式によると、固定度が0.3~0.7の場合には、杭頭固定に対して1.7~1.3倍程度の変形量となります(杭頭ピンの場合は杭頭固定の2倍の変形量となります)。しかし、杭頭固定の場合,大変形時には杭体が壊れるので、パイルキャップ位置と杭頭部の相対的な水平変位が比較的大きくなりますが、CTP工法では杭体の著しい損傷はないことから、杭頭固定よりも小さな水平変位で収まります。

どれくらいの引抜力に対応できますか。

キャプテンパイル工法の基準図に、杭径と引張定着筋の仕様に応じた最大引抜力が示されています。例えば、杭径2.0mで、引張定着筋の仕様がSD490,10-D38の場合、5586kNまで対応できます。標準仕様で最大杭径3.0mの時、36716kNまで対応可能です。

超高層建物にも適用できますか。

上部構造の制限はありませんので,超高層建物にも適用できます。ただし、建物の重要度が高いので、必要に応じて、弾性支承梁理論の式ではなく、接合部の回転ばねをモデル化してFEM解析に組み込み、荷重増分で計算します。

在来の固定接合法で設計された杭基礎をキャプテンパイル工法に変更するとどのような杭基礎になりますか。

在来設計で検討していた設計レベル(一次、二次)等によっても異なりますが、在来工法の設計が場所打ちコンクリート杭であった場合には、一般に杭径が縮小します。また、在来工法の設計が場所打ち鋼管コンクリート杭であった場合は、鋼管径と同径以下の場所打ちコンクリート杭の設計が可能になることがあります。  

確認申請で特別な対応が必要になりますか。

(財)日本建築センターにて一般評定を取得していますので、特別な対応は不要です。

VE提案にも使えますか

杭・基礎工事おいて、VE提案が可能です。ただし、杭や基礎梁等の主要構造部材の変更を伴う場合,確認の変更申請が必要となります。