まさか20年を迎えるとは‥

宮田章,協会アドバイザー

 キャプテンパイル工法の開発当初から参加している最古参メンバーの一人で、現在は協会アドバイザー。皆様から声がかかると活動開始。今回はコラム執筆の依頼を受けました。

 協会発足10年を迎えた2006年4月のコラムは、初代会長の吉松氏が執筆してくださっています。「温故知新」と題して、開発のきっかけから実施展開について、「もの(シンプルなキャプテンパイル工法)・ひと(熱意溢れる、相互尊重する会員)・しくみ(会員会社から自主参加型組織)」のキーワードを挙げて、これらが絶妙のバランスで融合し、継続、展開されてきた、と振り返っておられ、誠にその通りであったと思います。そして、2026年に協会発足20年目を迎えることができました。正直言うと、20年目を迎えられるとは思っていませんでした。理由は簡単。キャプテンパイル工法は開発後、新たな視点に立つ改良を行っていないためです。何事も変化しなければ、別の新しい技術に押されて消えるのは必然です。では、なぜキャプテンパイル協会は続いているのでしょうか。

 私には、二つの理由がすぐに浮かびました。一つ目は、杭頭回転拘束度(いわゆる杭頭固定度)の緩和という、構造の常識から外れた接合法であること。接合部を部材より強くすることは、建築構造に限らず世の中の製品では常識で、例えば傘は骨が折れて使えなくなります。一方、地中で造成する場所打ち杭は、杭頭部の露出時に杭心ずれ、杭頭傾斜やコンクリート充填不良などのトラブルに遭うことがあり、このような不測の事態への備えとして、キャプテンパイル工法のように縁を一旦きる杭頭接合法は合理的な考えであると思いませんか。個人的には、シース内に引張定着筋を定着させる方法が気に入っており、評定で認められた時は感極まる思いでした。現在、杭の施工技術は目覚ましく向上し、施工品質は改善されてきました。この流れを追いながら、部会・WGで検討して細かな改善を行うことで、キャプテンパイル工法を存続させてきたわけです。

 もう一つは会員相互の情報交流の場になったこと。杭頭接合部に限定せず、設計施工全般、近年多い大規模地震被害などの情報交流や、キャプテンパイル工法の初心者や経験の少ない会員の質問を批判することなく、教え・教えられる場を作り出しています。これには専任事務局長の存在も一役買っており、会員相互で磨きあっている環境はすばらしいものです。自由な意見交換は、私にも貴重な刺激となり、成長の糧になりました。

 このようなキャプテンパイル協会を支え、育ててくださった会員の皆様に大変感謝しています。これからもキャプテンパイル協会を焦点に人が集まり、多くの人の手を次々とバトンが渡り、又はバトンを分けていく場としてより広く活用される、このような未来に向かっていこうではありませんか。

2026年4月