多発する大地震で思った事

前島 克朗,五洋建設

 はじめまして。五洋建設の前島と申します。昨年度まで山浦氏が協会活動しておりましたが3月にご勇退されました。それを機にという訳ではありませんが弊社の企画、技術、施工各部会のメンバーを一新しました。全員、キャプテンパイルについては不慣れですので、皆様のご指導、ご鞭撻をお願い致します。
 内容はソフトなテーマでとのご依頼でしたが、人様にお話できるような趣味がないこと、話題提供に対する準備不足のため少々かたい話題になってしまいますが暫しお付き合い下さい。

 「天災は忘れた頃にやって来る。」は誰もが知っている言葉ですが、1990年の以降に発生した主な地震を列記しますと、釧路沖地震(1993年)→阪神大震災(1995年)→鳥取県西部地震(2000年)→十勝沖地震(2003年)→新潟県中越地震(2004年)→新潟県中越沖地震(2007年)→岩手・宮城内陸地震(2008年)→東日本大震災(2011年)→熊本地震(2016年)となり「忘れる前に」に日本どこかで発生しています。代表的な地震と被害の特徴、その教訓により分かったこと建築基準法に影響を与えたことは、

  • 阪神大震災 建築・土木の耐震基準の見直し 耐震改修促進法の制定
          免震建物の普及のきっかけ
  • 十勝沖地震 長周期地震動による大構造物の被害
  • 東日本大震災 建築物の津波対策、天井、エキスパンションジョイントなど非構造部材の被害
           長周期地震動
でしょうか。

 日本は言うまでもなく地震多発国ですが、M9.0の超巨大地震、建物の存在期間中に1回遭遇するかもしれない震度7の大地震を3日間に2回発生することを建築設計の世界で想定していたかあるいはできたかは個人的には疑問です。しかし、「想定外」という言葉は通用しないようで、大地震において軽微な損傷でおさまったとしても建物所有者からはなぜ壊れたのか。」、「他は何ともないのになぜか。」とか疑問を投げかけられます。やはり、何があっても壊れては困りますということだと思います。

 先日の企画部会でキャプテンパイルは「実験では4回の大地震後も建物を支持できる能力があることを確認している。」という発想で開発されたということを恥ずかしながら初めて知りました。地震被害を通じてとうことだけではありませんが、建物の安全性ということに加え、「建物の機能維持もしくは迅速な機能回復」という観点が必要だと実感した次第です。 

2016年7月