温故知新

吉松敏行,協会アドバイザー

 マンスリーの第1号は、2006年10月です。私が、寄稿いたしました。タイトルは、「Let's begin with us」でした。それから、早、10年、本工法(CTP工法)は、会員皆様の積極的な取り組みにより、工法改善がなされ、今日まで、数多く実績を挙げて来ました。10年という大きな節目に当たり、私なりに、これまでを、振り返ってみたいと思います。

 開発から現在までの流れを、簡単に示します。

  1. 開発のきっかけ
    阪神大震災における杭被害(特に、杭頭部の損傷)の教訓から、在来の杭頭固定の欠点を解消すべく、社内(鹿島)部署プロジェクトとして、主に既製杭用の杭頭半固定工法(キャプリングパイル工法)の開発に着手し、評定取得後、既製杭メーカーへの実施許諾により、幅広い実施展開を図った。
  2. 本工法への取り組み
    キャプリングパイル工法の開発成果をベースに、場所打ち杭用への応用・拡張を目指し、共同研究開発のパートナー確保を、ネツレン(許斐氏)に依頼し、ゼネコン9社とネツレンの計10社で、開発に着手した。
  3. 本工法の実施展開
    評定取得は、2005年12月、研究会から協会に移行したのが、2006年4月、2007年度より、準会員会社の募集を開始し、現在、正会員、準会員合わせて20社で、実施展開している。
 これらの開発、実施に当たって核になる考えは、「いい製品を、安価で、広く、多く方に提供していく」というものです。この考えを、具体的に実現する要素は、次の3つのキーワードです。

 3つのキーワードは、①もの、②ひと、③しくみです。「もの」は本工法、シンプルであること(PCリング)、「ひと」は会員、熱意にあふれていること(相互尊重)、「しくみ」は組織、全員参加が保たれていること(自主参加)。この3要素、それぞれ、優れており、かつ絶妙のバランスで、融合しており、これにより、本工法の実施が、順調に、継続、展開されてきたのだと思います。

 すべて、人もものも、時代とともに、生まれ、成長し、成果を上げ、役目を終えたら、次の世代に、引き継がれていきます。皆、過去と未来をつなげる一時期を担うランナーです。本工法の開発から実施・展開に関わった方々の想いを、しっかり、心に刻み、皆様が、それぞれのスタンスを認識した上で、新たなる発想を展開し、より進化した工法の実現に向けた積極的な活動を継続され、次の世代につなげて行かれますことを切に望んでいます。本工法が、より多くの方々に、正しく、理解、評価され、極、普通に採用される状況になれば、いつかは、キャプテンパイル工法が、場所打ち杭の杭頭半固定工法の代名詞になる日が来ることを密かに念じています。
 
Let's contnue with us

2016年4月