北海道

加々良 昌史,東亜建設工業

皆様ご無沙汰しております。
北海道の東部に、昨年度1年ほど現場研修で単身赴任しておりました。
北海道の冬の現場について色々と書かせて頂こうかとも思っておりましたが、多くの事がありすぎてとても書ききれるボリュームではなかったので、テーマを一つに絞る事にしました。

何に絞るかと考えてみたところ、道東と言えば、やはり温泉でしょうか。
北海道では、なぜか至るところで温泉が湧き出しています。温泉が多過ぎて、温泉ではない旅館が珍しいくらいです。
私の住んでいた町では、町中のいたる排水溝から温泉の湯気が立っていました。
温泉は出るのが当たり前で、駅には無料の足湯があるような町でした。

私は実は温泉好きではありませんでした。
ただ、北海道に来て、美味しい物も食べたし、観光地も一通り巡ったし、となると、最後はやっぱり温泉になるんですね。
北海道の温泉のいいところは、とにかくどの温泉もレベルが高いという事。そして安い。地域性なのか気軽に入れる雰囲気があるんです。
前述したように、何処に行っても温泉があるので、車にバスタオルを積んでおけば、日帰り旅行の締めに丁度いい。そして、私のような単身赴任者にとっては、例えば日曜の夕方まで仕事して、何も遊ぶ事なく一週間が終わるのが寂しいなって時に、どこか近場の温泉を訪れば、短時間だけど遊んだ気になるので、気持ちの切り替えに非常に便利なんです。

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さて、そんなわけで私もだいぶ温泉巡りをしたわけですが、中でも一番のお気に入りは、コタン温泉でした。
これは地元の方が管理している屈斜路湖に面した無料の露天温泉。
冬になると湖に白鳥が飛来してきて、白鳥の群れを見ながら温泉に浸かれるのです。
写真のような開放的な温泉ですので、初回は恥ずかしくて入れませんでした。2回目の時、勇気を振り絞って入ったのですが、3回目以降は不思議と平気でさらりと服を脱いで入れるようになっていました。
そんなこんなで、ここの温泉には月一程度通い続けたのですが、自然の温泉なので毎回何かしらの事件がありました。それらの中で最も思い出深いエピソードを一つ。

ダイヤモンドダストを見に行った夜だったので、たしか2月。
とても寒い夜だったので、温泉で暖まってから帰ろうと、コタン温泉に寄りました。脱衣所で服を脱いだ辺りで気付きました。
マイナス10℃以下の環境の中、脱衣所から湯船までの数メートルを素っ裸で歩かなくてはなりません。マイナス10℃といえば素手で手摺も触れない状況です。
もし倒れたら絶対に死ぬなぁなんて思いをよぎらせながら決死の思いで温泉に飛び込みました。
その後は、白鳥を眺めながら、空には満月と星空を一人占め、御神渡りの音をBGMにとても幸せなひとときを過ごしました。
しかし、ぽかぽかで脱衣所に戻った私に待ち受けていたのは、バリッバリに凍った服でした。地獄からの極楽とその後の地獄への急降下。

そんな素敵なコタン温泉ですが、秘湯の中では、まだまだ入りやすい初級の部類だと思います。公園の真ん中に温泉があったりだとか、干潮時に海の中から現れる温泉だとか、道東には様々な温泉があります。皆様も道東に旅行に行かれる際には、是非色んな温泉に挑戦してみて下さい。

2015年6月