貴重な体験

笠原 康雄,飛島建設

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 昨年の9月に前任者に代わり施工部会でお世話になっております、飛島建設の笠原です。依頼を受け題材の候補を幾つか挙げてみましたが、皆さんには、ほぼ皆無であろうと思われる海外渡航について話させて頂きます。

 4年前のことになりますが、当時私は当社の労働組合に所属しており、その関係から海外視察をする事となりました。当社は2か国での優位性を強化するとしてパキスタンとブルネイを基盤とする海外施策を展開しており、パキスタンの作業所を視察しました。多分皆さんが考える旅の候補には、ほぼならないのがパキスタンでしょう。

 当時、空港所在地のラホール・首都のイスラマバード・作業所があるファイサラバードは、外務省の情報で『渡航の是非を検討』となっており、退避勧告や渡航延期勧告地域も多く、もしかしたら帰っては来れないかも・・・と思いました。飛行機の到着は夜遅くになり、空港からホテルまで約50分程車で移動しましたが、街中に入ると街灯も少なく道はデコボコ、バラックのような店先に多くの現地人がおり、それは目にした事の無い非常に異様な光景で、今でも忘れません。ホテルの周囲は何重にも鉄条網が張られており、ゲートでは自動小銃をぶら下げた数人の門番にチェックされ、流石にその時は恐ろしいと感じました。翌朝、ファイサラバードへ約500km車で移動しましたが、高速道路は整備されており唯一快適でした。車窓から見える景色はピンク色をした山々で、聞いたところによると全て岩塩だそうです。作業所に到着すると外気温が異常に高く47℃であったのを覚えています。夜は日没以降の外出は危険とのことで、この地では何処へ行っても気が抜けず、過酷な場所であると身を持って体験しました。帰国し1年後に滞在していた近郊でビン・ラーディンの殺害が確認されたと報道があり、改めて何も無くて良かった、また、日本は平和であると感じました。貴重な体験・経験をさせていただきました。この経験は協会で生かす事は出来ないと思いますが、今後とも宜しくお願い致します。

2014年8月