初・書

宮田 章,鹿島建設

 キャプテンパイル工法の着想時から参画しているが,初めてのマンスリーコラム執筆。実は人見知りで,裏街道を生きてきた。両親からいただいた体であるが,右目が強度の乱視であったため,文字の多い本が大変苦手で,所々に数式の入った力学関係の本ばかり読んだ。文字で目が疲れると,数式を誘導するなどノートで繰返し数式解釈を楽しんだ。これが今の私を作ったのは間違いない。

 文字の多い本を読み始めたのは,家内が実家から持ってきた「歎異抄入門」。本文の後ろについていた戦中戦後の著名人のコメント欄が気にいった。人を外見・職業などで差別してはいけない,と言いつつも避けられずにいた頃である。著名人たちの,著名であるが故の心の声に感銘した記憶がある。最近は寝る前に「万葉集」を読む。約1300年前の宮廷歌人や防人などさまざまな人の思いが時には明るく,時には寂しく,人生を語ってくれる。古文の知識不足のため少しの注だけでは解釈できないが,もてる知識だけを駆使して,今は歌の世界で楽しみたい。

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 毎日目を通すのは,明治~昭和の哲学者 西田幾多郎の「善の研究」である。40年余に及ぶ西田幾多郎の思索が,最初の作品である「善の研究」からにじみ出ている。将来の思考が最初の思想の中に含まれていることに大変な驚きを感じさせる。西田幾多郎の文章は難解と言われているが,「善の研究」の第2編以降は比較的読みやすい。

 とめどもなく,私の浅学菲才を曝け出してしまった。ついでにもう一つ。右の図は学生の頃から解けなかった静定ラーメンである。見栄も外聞もないが,何方かの知恵を拝借したい。

2014年5月