神保町
高岡 雄二,三井住友建設
CTP協会の皆様、お世話になっております。
昨年4月から施工部会に所属しております、三井住友建設㈱ 高岡雄二です。
本コラムを執筆するに当たり、今までのコラムを再度拝見させていただきましたが、皆さんしっかりとした趣味をお持ちで、中にはあの方がこんな趣味を持っておられるのか、と再発見をさせていただきました。
今回のコラムでは私の趣味である「読書」・「散歩」・「食べること」の全てを満たしてくれる「私の神保町での過ごし方」をご紹介させていただきます。
神保町は言わずと知れた「本の街」。
古書店約170店、新刊書店約30店が店を出し、各種出版会社もあるという世界でも有数の書店街です。各書店の取り揃えている本は多様で専門性も高く、各書店には明確な個性があります。バブルの頃、地上げ屋さんのターゲットとなるも、一致団結して書店街を守った歴史もあります。
そんな神保町の私なりの利用方法は「今日はこの地下鉄○○出口周辺をぶらぶらしよう!」程度のラフな決まりを作り、目に入った書店から入っていく方法です。
各書店は専門性が高いため、隣り合う店舗でも扱う図書も訪れる客層もかなり違います。訪れた店舗では必ず本を5冊手に取り(興味がなくても)、その雰囲気を味わってから出るようにしています。まだまだ全部を廻れてはいないですが、いままで訪れた中から‘高岡ベスト3書店’を紹介させていただきます。
「ボヘミアンズ・ギルド」
美術関係、稀こう本専門書店です。店内には海外や国外の美術書や絵画が所狭しと飾られ、本棚には作家のサインが入った署名本がずらりと並んでいます。2Fのショーケースには与謝野晶子、芥川龍之介、大江健三郎、司馬遼太郎などの草稿や短冊などが収められていて、さながら美術館のような古書店です。直筆の草稿を見るたび胸が高鳴ります。
「ブックハウス神保町」
絵本や子育て関連の本を専門としています。出産祝いなどの贈答品を選ぶとき、かなり重宝しています。店内に大きなソファーがあり、子供を連れて行ってもそこで絵本を読んで過ごしてくれるので、本を選びに集中できます。店員さんに相談しているおじいちゃんとかを見ると微笑ましくなります。
「南洋堂書店」
建築専門書店。建築を専攻している大学生と思われる人から設計事務所と思われる方が店に出入りしております。私も学生時代は何度も訪れた書店です。社会人になった今は時折古地図を見に訪れますが、行くたび学生時代の気分に浸ります。
上述に挙げた以外にも、一般図書から時代物の本や雑貨を取扱い、休日は店員の人が鎧武者になって現れる「時代屋」、一つの建物にいろんな古書専門店が入っている「神田古書センター」、ビルの4フロアもある店内に多様な種類の古書を取り扱い、土日限定でおこなうガレッジセールも楽しみな「小宮山書店」、建築、美術などを専門とし、いままで行われた展覧会のカタログなども取り扱っている「源喜堂」など、個性あふれる書店がお気に入りとなっております。
そのような店舗を午前~午後にかけてめぐり、出合った本を片手に訪れるのが喫茶店「ミロンガ」または「さぼうる」。両店とも店内は昭和のレトロな雰囲気ですが、「ミロンガ」ではコーヒーのみならず世界各国のビールが飲めます。ビール党の私にはもってこいの店で、書店めぐりで程よく疲れた体に美味しいビールが染み、ほろ酔い気分で本を読む。
至福の時です。
本と世界各国のビールを堪能し、最後の締めに訪れるのはカレー屋さん。神保町はカレー屋さんが多いことでも有名ですが、私がよく訪れるのは「エチオピア」。
ここでは普通盛りでも他の店では大盛りの量のカレーが食べられ、辛さの調節が出来ます。辛いのは苦手ですが、酔った勢いで2辛を頼み、そしていつも後悔します。
でも酔っ払うとなぜかまた挑戦したくなります。
最後に「後悔」を味わうのが私の神保町巡りに織り込まれているのかも知れません。
最近はそんな書店や飲食店を紹介する「本と街の案内所」もでき、散策しやすくなりました。案内所では不定期で展覧会、演奏会、落語会などのイベントも開催されます。
出会いと発見の街、神保町。
皆さんも巡ってみてはいかがでしょうか。
2011年2月